はじめに
パピヨンはその名の通り蝶のような大きな耳が特徴的な、愛らしい小型犬です。
活発で聡明な性格と、人懐っこさで多くの家庭に親しまれています。
比較的健康な犬種といわれていますが、体が小さいゆえに気をつけるべき病気もいくつか存在します。
この記事では、パピヨンに特に多いとされる病気や体のトラブル、予防のための生活習慣やチェックポイントについて解説します。
飼い主として愛犬の健康を守るために、ぜひ役立ててください。
パピヨンに多い代表的な病気
膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼、通称パテラは、小型犬に非常に多い病気です。
膝の皿の骨が本来の位置から外れてしまう状態で、グレード1から4まで重症度があります。
パピヨンは体が軽く骨が細いため、ジャンプの着地や滑りやすい床での移動時にリスクが高まります。
症状例
- 足をあげて歩く
- 急に立ち止まる、鳴く
- 散歩を嫌がる
予防法
- フローリングには滑り止めマットを敷く
- 高いところからのジャンプを控える
- 適正体重をキープ
気管虚脱
気管が扁平につぶれて呼吸が苦しくなる病気で、小型犬に多くみられます。
興奮時や夏場の暑さで症状が悪化することがあります。
症状例
- ガーガーというガチョウのような咳
- 散歩後にゼーゼー言う
- 舌が紫っぽくなる
予防法
- 首輪よりハーネスを使用する
- 興奮させすぎない
- 室内の温度管理を徹底
歯周病
パピヨンは口が小さく歯が密集しているため、歯垢が溜まりやすく歯周病のリスクが高い犬種です。
放置すると抜歯が必要になることもあります。
症状例
- 口臭が強い
- 歯茎が赤く腫れている
- 食欲不振、片側でしか噛まない
予防法
- 歯みがき習慣をつける(理想は毎日)
- デンタルケアおやつやガムを利用
- 定期的に獣医師による歯科チェック
白内障・進行性網膜萎縮(PRA)
目の疾患は遺伝的に出やすいパピヨンにとって注意すべき点です。
白内障は加齢による場合が多いですが、若齢性白内障や進行性網膜萎縮など遺伝的な要因もあります。
症状例
- 物にぶつかるようになる
- 瞳が白く濁る
- 暗い場所で動きが鈍い
予防法・対策
- 年1回以上の眼科健診
- サプリメントの活用(ルテインなど)
- 紫外線を避ける生活環境
低血糖
子犬や小柄な成犬に起こりやすい病気です。
空腹やストレス、寒さなどで血糖値が急激に下がると、命にかかわる危険も。
症状例
- ふらつき、ぐったりする
- 震え、意識がもうろうとする
- 食欲不振
予防法
- 小分けに食事を与える(特に子犬)
- 冷えない環境を作る
- 急な運動や刺激を避ける
日常でできる健康チェックのポイント
- 毎日のスキンシップで「触れる」習慣を持つ
- ごはん・おやつの食いつき、食欲の変化に注意
- 排泄物の状態(色、回数、におい)を観察
- 歩き方、動きのスムーズさを日々チェック
- 毎日体を撫でながらしこり、痛がる箇所がないか確認
病気の早期発見につながる習慣
定期健診
年1回の健康診断に加え、7歳以上のシニア期に入ったら半年に1回が理想的。
血液検査、尿検査、レントゲンを含むコースが推奨されます。
ワクチン接種とフィラリア・ノミダニ予防
基本的な予防医療を怠らないことが、他の病気を防ぐベースになります。
体重管理
肥満はあらゆる病気のリスクを高める要因です。月に1回は体重を測って記録しましょう。
健康維持に役立つ生活習慣
- 栄養バランスの良い食事(高タンパク・低脂質・無添加が理想)
- 規則正しい生活リズム(食事・散歩・睡眠)
- ストレスの少ない環境づくり(安心できる居場所)
- 歯みがき、耳掃除、ブラッシングなどの日々のケア
- 飼い主との信頼関係の構築
まとめ
パピヨンは、見た目の可愛らしさだけでなく、賢く感受性が豊かな魅力的な犬種です。
そのぶん体調の変化にも敏感で、病気を未然に防ぐためには日々の観察とケアが不可欠です。
「病気になってから対処する」のではなく、「病気になる前に防ぐ」意識が、愛犬との健やかな生活を長く保つカギになります。
毎日のちょっとした変化に気づいてあげること、それが何よりの愛情表現です。
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